中国語の書籍を英語に翻訳するには、読める文になっているだけでは足りません。人名は見分けがつく形で残し、参照は正しい人物を指している必要があります。簡潔な表現も、それが置かれた場面や議論の中で意味が通じなければなりません。
まず、そのまま使える完全なEPUBを用意してください。中国語の原文も手元に残しておけば、英語が流暢に見えても意味が思いがけず変わっている箇所を調べられます。
人名と地名の表記を決める
定着した表記が分かっている場合は、それに従います。繰り返し登場する人物、地名、肩書き、組織名を短い一覧にまとめ、原文の形を英語での表記の隣に書いておきましょう。後から表記の揺れを探すときに役立ちます。
すべての登場箇所を機械的に同じ形に置き換える必要はありません。人名、敬称、あだ名はそれぞれ異なる情報を伝えることがあります。その違いが意味を持つかどうかを確かめてから、揺れを誤りと判断してください。
例として、架空の人物「林岚」を考えると、一覧には 林岚 → Lin Lan、林教授 → Professor Lin、あだ名をそう扱う方針なら 小林 → Xiao Lin と記録できます。これらは同じ人物を指しながら、異なる関係性を表します。あだ名を残すか、説明を添えるか、より自然な英語にするかは、その場面を読んでから決めてください。すべてをフルネームに置き換える必要はありません。これは編集上の例であり、PDF Craftによる翻訳結果ではありません。
翻訳指示の例は次のようになります。
自然な英語に翻訳してください。人名は指定した表記のままにしてください。肩書きとあだ名の意味のある区別は保ってください。書籍の主題に関する用語は標準的なものを使ってください。
PDF Craftは翻訳指示欄でこうした希望を受け付けます。処理の指針にはなりますが、書籍全体で完全な一貫性を保証するものではありません。重要な人名は、序盤と終盤の章で確認してください。
慣用表現と文化的な言及を文脈の中で読む
直訳すると、見えている言葉は残っても要点が失われることがあります。その表現が文中でどのような役割を果たしているか、冗談、叱責、情景描写、前に出てきた事柄への言及といった観点から考えてみてください。
たとえば、架空の文「他把已经讲清的事又解释了一遍,真是画蛇添足。」を考えてみます。この文脈なら、英語の読書用訳は「He explained what was already clear and only overcomplicated it.」とできます。ここでの「画蛇添足」の要点は、すでに十分なものに余計な付け足しをして、台無しにしたり弱めたりすることです。蛇に足を描くという文字どおりの表現だけを置くと、読者は実際に絵を描く話なのかと戸惑うかもしれません。ただし、物語がそのイメージを意図的に再び用いるなら、それを残して説明したほうが編集上よい判断になることもあります。
なじみのない言及をすべて英語の相当表現に置き換えるべきだとは限りません。説明が助けになる場面もあれば、語り手の声を妨げる場面もあります。個人的な読書用の写しを理解することと、出版に向けて準備することでは、必要な推敲の度合いが異なります。
迷ったときは、訳を変える前に前後の原文の段落を読み、注記があればそちらにも目を通してください。文化的な意味を推測して説明を加えるのは避けます。重要な箇所なら、不確かな点を記録し、適切な資料やバイリンガルの確認者に相談してください。
ファイルと章構成を確認する
アップロードする前に、元のEPUBを開いてください。目次と、いくつかの章の冒頭と末尾を確認します。分冊や外部での変換を経た書籍なら、ナビゲーションの重複や続きの欠落がないか調べましょう。
元がスキャンしたPDFなら、文字認識と読み順の確認という工程がさらに加わります。購入した保護付きのファイルなら、翻訳すれば制限が外れると期待するのではなく、正規に使えるファイルを用意してください。KindleからEPUBへのガイドでは、元ファイルの準備の一例を説明しています。
EPUBから英語への翻訳の流れでは、ファイルをアップロードし、実際の設定で英語を選びます。翻訳のみかバイリンガル出力かを選び、簡潔な指示を加え、送信前に現在のタスクの上限と料金を確認してください。初めての利用者には試用クレジットが付与され、翻訳は使用量に応じて課金されます。
数値と重要な関係を確認する
ダウンロードしたら、数量を文脈と照らし合わせます。日付、金額、割合、単位を確認し、その数値が合計なのか、範囲なのか、一例なのかを見極めてください。もっともらしい英語の数値でも、原文の表現を確かめずに受け入れてはいけません。
否定、条件、行為の主体も確認します。曖昧な代名詞が英語では明確になってしまうことがあります。後の展開や議論が、その小さな選択に左右されることもあります。
確認する箇所の例を挙げます。
- 重要な人物や場所を紹介する箇所。
- 慣用表現を含むやり取りや、感情のこもったやり取り。
- 数量や重要な事実の主張を含む段落。
- 繰り返し登場する人名や定義済みの用語が、後に使われている箇所。
- 章の区切り、注記、図版があればその箇所。
確認しやすい読書用の版を選ぶ
バイリンガルEPUBでは、原文の各箇所の後に英訳が置かれます。その場で見比べやすくなる一方、読む量は増えます。通読が目的なら翻訳のみの出力が向いており、原文は別に保管しておきます。
出力したファイルをいつものリーダーで開き、文字サイズを変えたり、章のリンクをたどったりしてください。バイリンガル版では中国語と英語の文字を確認し、必要に応じて注記も確かめます。目次が完全に見えても、すべての箇所が正しいとは限りません。
どの言語の組み合わせでも、短いサンプルは問題点を見つけるのに役立ちますが、書籍全体の正確さを何パーセントと示すものではありません。言語品質の準備ガイドで、この違いを説明しています。章ごとに問題点と原文の語句を記録しておけば、後からその箇所を正確にたどれます。