表に必要な数値がすべて揃っていても、内容が誤っていることはあります。値を1列ずらすだけで、別の年、別の処理、別の単位を表すことになりかねません。スキャンPDFの表をOCRで処理した結果を確認するときは、数字がもっともらしく見えるかどうかだけでなく、ラベルと値の対応関係を見る必要があります。
まず元のページ画像と、表1つ分を丸ごと用意します。見出し、本体、注記、そして続きがある場合はその部分まで確認してから、値を表計算ソフトやレポートにコピーしてください。
セルを確認する前に結合見出しを把握する
見出しが複数の列にまたがり、2行目で個々のラベルを示していることがあります。たとえば「年間生産量」という見出しが2年分をまとめ、それぞれが製品種別に分かれている場合です。複数の列にまたがる見出しが失われると、書き出された行は整って見えても意味が通らなくなります。
サンプルに選んだ値について、表題、グループ見出し、列見出し、行見出し、単位をつなげた完全なラベルを書き出してみてください。そして、変換結果だけからそのラベルを復元できるかを確かめます。
行側で結合された見出しも同じように確認します。複数の行の横に1回だけ印刷されたカテゴリは、そのすべての行に当てはまるかもしれません。その下の空セルは、必ずしもデータの欠落ではありません。空欄をすべて0で埋めると、元の表の意味が変わってしまいます。
後でMarkdownでどう表すかを選ぶ際は、PDFの表をMarkdownに変換するを参照してください。ここで問題にするのは、元の表が正しく認識されたかどうかです。
値を双方向にたどる
スキャン画像で値を1つ選び、変換結果の中にその行と列を見つけます。次に、変換結果で値を1つ選び、スキャン画像までさかのぼります。逆向きに確認すると、重複した行や、元画像に対応する箇所が見当たらない値に気づけることがあります。
確認する位置はばらけさせます。先頭行、中央、最終行、そして注記の記号や珍しい記号を含む行などです。小数点の区切り、マイナス記号、桁区切り、パーセント、範囲、かっこを確認します。周囲の数字が合っていても、こうした記号で意味が変わることがあります。
空欄、ダッシュ、「該当なし」、0といった区別はそのまま残します。表の凡例では、それぞれに異なる意味が与えられているかもしれません。凡例を理解し、変更を別途記録するまでは、都合よく統一しないでください。
単位は見出しと注記とあわせて読む
「売上高」という見出しの値も、表の上か下の注記にしか「単位:千円」と書かれていなければ、情報として不完全です。この条件が変換後も残り、正しい値に対応づいているかを確認します。
セルの中に書かれた単位にも目を向けます。上付き文字、接頭辞、度の記号などは、画質の低いスキャンでは消えてしまいかねません。ミリグラムがグラムに変わるのは、単なる表記の揺れでは済まない問題です。
後で文書を翻訳する場合でも、単位の認識と言語の選択は切り分けて考えます。OCRで指数が抜け落ちても、翻訳者が気づいてくれるとは限りません。まず認識された原文を確認し、そのうえで翻訳された見出しや説明と比べます。
複数ページにまたがる表は慎重につなぐ
「続き」の表示、繰り返される列見出し、途中で切れた行、最終ページの後ろにだけ現れる注記を探します。繰り返された見出しは、余分なデータ行になってはいけません。繰り返された行見出しは、2つ目の観測値ではなく、単なる続きである可能性があります。
ページ区切りの直前の最終データ行と、直後の最初の行を確認します。説明文が次ページにまたがっている場合は、その値が同じ項目に属したままか確かめます。末尾の脚注が、前のページの行に当てはまることもあります。
作業用の表からページの区切りを取り除いたとしても、確認の記録には残しておきます。そうすれば、行が抜けたのか、予期しない重複が生じたのか、その原因を後からたどれます。
数値を推測せず、食い違いを記録する
記録はシンプルで構いません。元のページと表、行見出し、列見出し、問題のある値、元画像での読み取り、修正の状況を書きます。読み取れない値は未解決としておきます。合計がぴったり合うという理由だけで数値を選んではいけません。
合計や範囲は照合の手がかりにはなりますが、証明にはなりません。元の表自体に丸めや編集上の誤りが含まれていることもあります。認識の修正と、その後のデータの解釈は区別して扱ってください。
PDF Craftは、スキャンした資料を含め、PDF変換の際に表を認識します。編集や再利用が目的ならMarkdownを選び、ダウンロードした結果を元の文書と比べてください。複雑な表や印字の薄い表は入念に確認してください。結合セルやページをまたぐ構造をすべてカバーできるとは一概には言えません。
研究ノートに表を使う前に、表題、単位、サンプルの行、注記をまとめて確認します。PDFからMarkdownへの研究ワークフローでは、表を元の文書から切り離した後も、その出典の文脈を保つ方法を説明しています。