原文と訳文を照合するときは、両方が見えているほうが作業しやすくなります。ただし「対訳PDFのレビュー」と言っても、内容はいくつかあります。1つのファイルにまとめたもの、別々のウィンドウで2つのPDFを開くもの、両方のファイルを並べて表示するリーダーを使うものなどです。他のサービス向けに書かれた手順を参考にする前に、自分がどの形で作業しているのかを確認しておきましょう。
PDF Craftの現在のオンラインPDF出力には、一部の競合サービスが案内しているような対訳PDFのダウンロード機能はありません。原文のPDFと翻訳結果は、外部のビューアで並べて確認できます。別の読み方として、対訳EPUBでは各原文の段落の後に訳文が続く形になります。これは2段組のPDFではありません。
迷わずたどれる表示方法を選ぶ
パソコンでは、原文と訳文のPDFを隣り合うウィンドウに置きます。両方のズームを近い倍率にそろえ、同じ節を探します。ビューアに比較機能や同期スクロールがあれば、ページ番号が同じなら内容も同じだと決めつけず、実際のファイルで動作を確かめてください。
訳文が長くなったり、図の位置がずれたり、表紙が違ったりすると、対応する箇所の位置も変わります。節見出し、式番号、段落の書き出しを目印にしてください。短い文書なら、原文と訳文のページ位置を対応表に書き留めておくだけでも足ります。
画面が小さい場合は、2つのファイルを1つの画面に収めるより、切り替えながら見たほうが扱いやすいことがあります。しおりやレビュー用のメモを使って、読んでいた位置を保ちましょう。同じ箇所を何度でも迷わず見つけられる方法が、いちばん適しています。
数字、人名、抜け落ちた箇所から確認する
原文の一節を、見出しや付随する注記も含めて最初から最後まで確認します。文の数は目安程度にとどめます。翻訳では必要に応じて文を分けたりまとめたりするため、数が違うからといって誤りとは限りません。
確認する一節ごとに、次の点を照合します。
- 人名、組織名、日付、型番、地名。
- 単位、符号、小数点記号を含めた数値。
- 「ただし」「のみ」「可能性がある」といった否定や限定の表現。
- 抜けが起きやすい、一節の最初と最後の語。
- 表、図、付録、注記への参照。
文として自然に読めても、指示の意味が逆になっていたり、条件が抜けていたりすることがあります。文章のスタイルを直す前に、まず意味を確認してください。よりはっきりした言い方になるからといって、慎重な表現を断定的な結論に変えてはいけません。
注記と図表を2つの版でたどる
原文の脚注記号を選び、訳文で対応する説明を探します。記号と本文全体を確認したら、元の文に戻ります。出力にリンクが含まれている場合は、リンク先が実際にどこを指しているかを確かめてください。
図については、キャプション、凡例、本文からの参照をまとめて比べます。画像がそのまま残っていても、中のラベルが未翻訳のことがあります。ページ全体を完了とするのではなく、この違いをレビューメモに残しておきましょう。
技術系の資料では、脚注レビューの記事で、見つけた注記だけを確認してもページ単位の問題が残る理由を説明しています。arXivの論文を扱う場合は、ダウンロードした原文の識別子とバージョンも控えておいてください。
位置を特定しやすい修正記録を残す
「12ページがおかしい」といった記録は、どちらかのファイルでページが振り直されると役に立たなくなります。原文のページ、見出し、段落の書き出し、そして問題のある本文を正確に書き添えます。
記録の例は次のとおりです。「原文の印刷ページ8、Methods、『Samples were excluded』で始まる段落:訳文の文で『not』が抜けている。原文を確認したうえで除外条件を復元する」。これはレビューの例であり、実際に報告された製品の不具合ではありません。
内容の修正とレイアウトへの指摘は分けて書きます。提案する変更、その理由、確認済みかどうかを記録してください。意味が曖昧な箇所は、原文の言語に通じた人が判断します。表示の並べ方だけでは、その判断はできません。
オンラインの作業とは別にレビュー結果を保存する
完了した作業から結果をダウンロードし、両方の版を保管します。原文、書き出した訳文、レビュー中の作業コピーが区別できるよう、ファイル名を分かりやすく付けます。PDF Craft Desktopはファイルを読んだり整理したりするための任意の方法です。クラウドでの自動同期やオンラインの共同レビュー機能があることは前提としていません。
納品用に1つの対訳PDFが必要な場合は、そのツールに現在どのような書き出し機能があるかを明確に確認してください。宣伝文句のどこかに「対訳」とあるからといって、その機能があると判断してはいけません。読んで照合するだけならEPUBで足りることもありますが、取引先からPDFでの提出を求められているなら、ファイルの仕様が重要になります。
記録した内容の問題がすべて明確に解決し、重要な参照元を原文までたどれるようになったら、レビューは完了です。両方の言語を画面に表示するのは準備にすぎず、品質を保証するものではありません。