元のEPUBに欠けている章や壊れた注釈があると、翻訳の出来を正しく評価できません。アップロードする前に、ファイルに何が含まれているかを把握し、手を加えていない元ファイルを保存しておきましょう。ただし、こうした確認のためにすべてのEPUBを展開したり、内部形式を覚えたりする必要はありません。
このチェックリストは翻訳の依頼を出すところまでを扱います。ダウンロードした翻訳結果の確認方法は、別記事の翻訳済みEPUBの検証ガイドで説明しています。
読者と同じように元ファイルを開く
いつも使っているリーダーでEPUBを開き、最初のページだけでなく先のページにも進んでみましょう。段落を一つ読んで、文字サイズを変え、後ろの章も開きます。開けない場合は、翻訳サービスが修復できると決めつける前に、別の対応リーダーで試してください。
拡張子が .epub のファイルでも、破損していたり、内容が不完全だったり、保護がかかっていたり、そもそも想定していたものと違ったりすることがあります。別の形式のファイルの名前を変えただけではEPUBにはなりません。通常の方法で読めない場合は、正規に入手できる版を用意しましょう。
文字化けや、不自然に固定されたページにも注意してください。固定レイアウトの本は、リフロー型の小説とは違う挙動をして当然です。これを翻訳前に把握しておけば、表示の違いをすべて翻訳のせいにしてしまうことを防げます。
章の一覧とリソースを照合する
目次を使って、最後の章を含むいくつかの章に飛んでみましょう。一覧を、本に実際に表示される目次や、既知の部・編の区切りと比べます。章の終わりも開いて確認してください。抜粋版はタイトルや表紙が本物らしく見えても、本来の終わりより手前で終わっていることがあります。
挿絵、キャプション、表、注釈があれば、それぞれ確認します。注釈の参照をたどって本文に戻りましょう。重要な文言が通常のテキストなのか、画像の中に埋め込まれているのかも見ておきます。画像をそのまま残すことと、画像内の文字を翻訳することは別です。
Web連載をまとめた本の場合は、ヘッダーの重複、続きページの欠落、章の並び順を確認します。見つかった元データの問題は、翻訳の前に適切な編集作業で直しておきましょう。手を加えていないコピーも残しておけば、整理のつもりが元の内容を消してしまう事故を防げます。
| 元ファイルの確認項目 | アップロード前に記録しておくこと |
|---|---|
| 完全性 | 想定される章や部、本がどこで終わるか |
| ナビゲーション | 確認済みの章の移動先と注釈リンク |
| リソース | 挿絵、キャプション、表、画像内だけにある文字 |
| 表示 | 既存のフォント、文字、レイアウトの問題 |
言語と背景の指示を用意する
翻訳先の言語と、翻訳だけが必要か対訳版も必要かを決めます。PDF Craft の対訳EPUBでは、原文の各段落の後に訳文が配置されます。見比べるには便利ですが、読み進める文章量は増えます。
テーマの簡単な説明と、優先したい人名や用語をいくつか用意しましょう。たとえば「天文学の入門書です。人名は変更せず、標準的な天文学の用語を使ってください」といった具合です。小説なら、会話や作中の造語について別の指示が必要になるかもしれません。
事実に基づいて書きましょう。要約が間違っていると解釈を誤らせますし、無関係な長い指示は肝心の要望を見つけにくくします。指示は翻訳の指針にはなりますが、すべての箇所がその通りになる保証はありません。メモは後で見返せるよう残しておきましょう。書き方の例は翻訳指示の書き方で紹介しています。
元ファイルと簡単な記録を残す
元ファイルは、結果のダウンロード先とは別のフォルダに、わかりやすいファイル名で保存します。タイトル、言語、必要なら版やバージョンも記録しておきましょう。後で元ファイルを修正したり差し替えたりしたとき、どのファイルから翻訳したのかがわかります。
機密性の高い内容なら、アップロードの可否を事前に決めておきます。デスクトップのビューアで開けることや、元ファイルが手元にあることは、翻訳処理そのものがオフラインで行われることを意味しません。慎重に扱う必要がある文書では、プライバシーのチェックリストを参考にしてください。
実際のタスク設定を確認する
EPUB翻訳ツールを開き、ファイル全体をアップロードして、翻訳先の言語、出力モード、指示を確認します。ランディングページのURLがこれらの設定を自動で決めてくれるわけではありません。どの本でも受け付けられると思い込まず、現在のファイルサイズや処理の上限を確認しましょう。
初めての利用者には試用クレジットが付与され、翻訳は利用量に応じて課金されます。現在の料金は料金でご確認ください。準備ができたら依頼を送信し、ダウンロード後に章の移動、繰り返し出てくる用語、重要な箇所を確認できるよう、元ファイルのメモを十分に残しておきましょう。
最終的にKoboで読む場合は、取り込みを別の手順として行います。詳しくはKoboでの読書ガイドをご覧ください。アップロード前の目標はもっと単純です。きちんと開く完全な元ファイルを用意し、翻訳先の言語をはっきり決め、どの元ファイルと見比べるのかを迷わないようにしておくことです。