# 技術書のEPUBを翻訳する：用語・略語・単位・主張の扱い

技術書のEPUB翻訳のための指示書を用意し、定義、略語、数式、コードの解説、単位、重要な結論を原文と照らして確認する方法を説明します。

技術書では、訳語の良し悪しはその用語を囲む定義や数式、手順によって決まります。表記を統一しただけでは、読者が同じ概念を理解できるとは限りません。

翻訳を始める前に、分野の概要と重要な用語を短くまとめておきましょう。翻訳後は冒頭の章だけでなく、定義とその後の使われ方を照らし合わせて確認します。

## 分野と読者のレベルを明示する

同じ単語でも、統計学と日常会話では意味が異なります。入門向けの電子工学の教科書なのか、上級者向けの経済学書なのか、初心者向けのプログラミング解説書なのか。主題と想定読者をはっきりさせておきます。

たとえば、指示書は次のように書けます。

> これは統計学の入門教科書です。確立された統計用語を用い、明快な英語で訳してください。変数名、コードの識別子、製品名は変更しないでください。

専門知識を求める長い定型文を貼り付ける必要はありません。判断を左右し、かつ後から確認できる指定だけを盛り込みます。指示書を扱いやすい分量に保つ方法は、[翻訳指示のガイド](https://pdfcraft.ai/ja-JP/blog/book-translation-instructions/)と[用語を準備するガイド](https://pdfcraft.ai/ja-JP/blog/translate-epub-with-terminology/)で解説しています。

PDF Craftの翻訳指示は訳語の指針となるものです。すべての用語や識別子が必ず統一されることを保証するものではなく、自動翻訳の出力が技術監修済みのサービスになるわけでもありません。

## 略語と単位は定義とセットで追う

繰り返し登場する略語のうち、展開の仕方によって意味が変わりうるものを洗い出します。原文で最初に定義されている箇所を探し、訳文では後ろのほうの使用例を確認します。文字の並びがよく知った語句と一致するというだけで、勝手に展開を補ってはいけません。

数量については、数値、単位、接頭辞、そしてその周辺の条件をひとまとまりとして比べます。数値が正しくても単位が変わっていれば誤りです。小数点や桁区切りの記号、マイナス記号、パーセント、そしてその値が例示なのか要件なのかも確認します。

翻訳者にすべての単位を気軽に換算させるのは避けましょう。翻訳と単位換算は別の作業です。換算後の値が必要な場合は、地域向けの言語を選んだから自動的にそうなるはずだと決めつけず、その要件を明示して別途確認します。

## 数式とコードの解説を合わせて読む

数式では、記号、添字、上付き・下付き、不等号の向きを比べます。続いて、それらの記号を定義している段落と、数式から導かれる主張を確認します。式そのものが正しくても解釈が誤っていれば、書き写しのミスと同じように読者を誤らせます。

コードでは、意味を持つ箇所の識別子と文字列リテラルを確認します。解説を例と照らして読み、同じ引数、入力、戻り値、エラー条件を説明しているかを見ます。コードブロックに表示されているというだけで、そのまま実行できると決めつけてはいけません。

表や図では、本文からの参照とキャプションを確認します。画像をそのまま残した場合、図の中に原文言語の文字が残っていることがあります。図版を残したからといって、埋め込まれたラベルが翻訳された証拠にはなりません。

## EPUB全体を翻訳し、確認しやすい形式を選ぶ

使用するファイルを[EPUB翻訳ツール](https://pdfcraft.ai/ja-JP/epub-translator/)にアップロードし、翻訳先の言語を選んで、翻訳のみか対訳かを指定します。簡潔な指示書を添え、送信前に現在の制限を確認してください。

対訳形式では原文の各段落の後に対訳が続くため、定義や聞き慣れない表現を見比べるのに向いています。翻訳のみの形式は、途切れずに読み進めたい場合に便利です。どちらを選んでも原文は手元に残しておきましょう。

初めて利用する場合は試用クレジットが付与され、翻訳は利用量に応じて課金されます。現在の料金は[料金プラン](https://pdfcraft.ai/ja-JP/pricing/)で確認し、完了したタスクから結果をダウンロードしてください。

## 用語だけでなく重要な結論も確認する

論旨の異なる部分からサンプルを選びます。

| サンプル   | 確認すること             |
| ------ | ------------------ |
| 定義     | 関連する用語との区別は保たれているか |
| 計算例    | 値、単位、手順は対応しているか    |
| 制約条件   | 前提、否定、不確実性は残っているか  |
| 結論     | 同じ条件で同じ結果を述べているか   |
| 後半での応用 | 前半の定義が一貫して使われているか  |

章のナビゲーション、注、表については、構造上の問題がないか別途確認します。スキャンした原本の場合は認識誤りも考慮する必要があります。その際は[数式と脚注のチェックリスト](https://pdfcraft.ai/ja-JP/blog/check-formulas-footnotes-after-ocr/)が役立ちます。

技術的な判断を左右する箇所は、原文と照らして確認し、プロジェクトに求められるレビューを受けてください。翻訳された技術書は主題を読みやすくしますが、本に書かれた主張の正しさを保証するものではなく、その使い方についての専門的な判断の代わりにもなりません。

