# 翻訳にはEPUBとPDFのどちらを使う？ 書籍と必要な成果物から選ぶ

リフロー型EPUBと固定レイアウトPDF、スキャン入力とテキスト入力、複雑な図版、閲覧端末を比較し、翻訳の進め方を選ぶためのポイントを解説します。

同じ書籍のPDFとEPUBの両方をお持ちなら、読みたい端末や読み方に合うほうから始めましょう。スマートフォンで読む小説と、大きな画面で見る図版の多いマニュアルでは、求められる条件が異なります。

これはファイル拡張子の優劣を決める話ではありません。テキストの構造、元データの品質、そして翻訳したものをどう使うかで判断します。

## リフローと固定ページは別の問題を解決する

一般的なリフロー型EPUBでは、端末の画面サイズやフォントサイズに合わせてテキストが折り返されます。PDFはページのレイアウトをそのまま保ちます。そのため、じっくり読み進めるならEPUBが便利で、図やキャプション、注釈の位置が重要な場合はPDFが役立ちます。

例外もあります。EPUBは固定レイアウトの出版物にも対応しているため、拡張子が`.epub`だからといってテキストがリフローするとは限りません。[W3CのEPUB仕様](https://www.w3.org/TR/epub-33/)でも、これらの出版物タイプは区別されています。実際のファイルを開き、フォントサイズを変えて挙動を確かめてから判断してください。

翻訳するとテキストの長さも変わります。1行に収まっていた見出しが折り返したり、固定された枠に訳文が収まらなくなったりすることがあります。柔軟なレイアウトなら、元のページ数を保たなくても長めの文章を収められます。ページの一致よりも読みやすさを重視するなら、これは利点です。

## 入力形式とテキストの品質は分けて考える

PDFには実際のテキストが含まれている場合、ページ画像をスキャンしただけの場合、その両方が混在する場合があります。段落をコピーして、貼り付けた結果を読んでみてください。選択できるというだけではなく、正しい順序で単語が認識されていれば、より確かな判断材料になります。

画像だけのスキャンは、テキストとして翻訳する前にOCRが必要です。壊れたテキストレイヤーも誤りを生みます。どちらも、ファイル名を変えたり形式間で何度も変換したりしても解決しません。

既存のEPUBには、章立てやナビゲーション、スタイル付きのテキストがすでに含まれていることがあります。正しく開けるなら、それを直接翻訳すれば、PDFからそうした要素を作り直す手間が省けます。逆に、ページ画像を寄せ集めた粗悪なEPUBが、明瞭なテキストベースのPDFより優れた元データになるとは限りません。

## 元データを用途に合わせる

| 状況                   | 適した出発点                  | 確認する点              |
| -------------------- | ----------------------- | ------------------ |
| スマートフォンで読む小説や文章中心の書籍 | 元のリフロー型EPUB             | 章の順序、人名、注、段落の流れ    |
| 他の版がないスキャン書籍         | PDFの認識と変換               | OCR、読み上げ順、欠落ページ    |
| 位置指定のある図版入りマニュアル     | 参照用としてPDFを保持            | 図のラベル、キャプション、相互参照  |
| 編集や調査メモ用の素材          | 必要に応じてPDFからMarkdownへの変換 | 見出し、数式、表の関係、引用     |
| 読書中の対訳比較             | 原文と訳文を交互に配置したEPUB       | 段落の対応と読みやすいフォントサイズ |

大きな表や図は、どちらの形式を選んでも注意が必要です。正しい表でも、幅の狭い画面では見づらくなることがあります。画像に埋め込まれたテキストは通常のテキストと同じようには扱えないため、重要なラベルは直接確認してください。

## 書籍の使い方に合わせて出力を選ぶ

[PDF CraftのEPUB翻訳機能](https://pdfcraft.ai/ja-JP/epub-translator/)はEPUB全体を読み込み、翻訳のみ、または対訳の出力を選べます。対訳出力では、各原文の段落の後に訳文が続きます。固定された対訳の段組みを保証するものではありません。

PDFの場合は[PDFワークスペース](https://pdfcraft.ai/ja-JP/pdf-craft/)を使い、実際の出力と翻訳設定を確認してください。読書用にはEPUB、編集や再利用にはMarkdownが向いています。変換しても自動的に翻訳されるわけではないので、必要に応じて翻訳を有効にし、翻訳先の言語を選んでください。

処理の前に[料金](https://pdfcraft.ai/ja-JP/pricing/)を確認しましょう。特定のファイル形式なら必ず安く済むとか、決まった時間で終わるといった前提は置かないでください。元データの複雑さ、処理の設定、その後の作業内容によって、実際の比較は変わります。

## 実際に使う端末で結果を確かめる

完成したファイルを使い始める前に、中ほどの章に飛び、フォントを大きくし、図版を見て、注をたどってみてください。原文のページや段をまたぐ段落も比較します。技術的な内容なら、数値、単位、数式、そしてそれらを説明する前後の文章を確認します。

訳文が読みやすくても、元のファイルは残しておきましょう。リフロー後のページ位置は紙のページ番号として引用できませんし、滑らかな訳文でも確認が必要なことはあります。良質なEPUBをすでにお持ちなら、PDFを経由する遠回りは避けましょう。PDFしか元データがない場合は、拡張子だけで決めようとせず、取り出した内容を読むため、あるいは編集するために役立つ出力を選んでください。

